相手のリターンが大きくラインを割った時、彼女はその場にしゃがみ込み、しばらく身じろぎもしません。

「こんなことが起きるなんて、信じられない！」

それが、決勝進出を決めたマルケタ・ボンドロウソバ（チェコ）の、試合後の第一声でした。

彼女が「信じられない」のは、無理もないかもしれません。
１年前のこの時期――彼女はロンドンに「観光客として来ていた」と振り返ります。ただ左手首には、ギプスをはめた状態で。はく離した骨の除去手術を受けた彼女は、友人の選手を応援するためウィンブルドンの予選会場を訪れ、その後は市内観光をしていたというのです。

それから12カ月経った今、彼女はウィンブルドンで６つの白星を連ね、決勝への扉を開きました。かねてより選手間でも「天才的」と評される繊細なタッチは、２度の手術を重ねた後も健在。
準決勝の対エレナ・スビトリーナ（ウクライナ）戦でも、スライスやドロップショット、そして鋭いサイドスピンを掛けたパッシングショットなど、多彩な技で終始試合を優位に進めます。最後は相手の追い上げに合うも、突き放す心の強さも示しての勝利でした。

ケガは辛い経験ですが、「フィジカルトレーニングに打ち込んだ」ことや「自分を信じる力を得た」ことで、さらなる強さを得た様子。
優勝まで、残すところあと一勝。今の彼女は、それが可能だと信じているはずです。

使用用具

マルケタ・ボンドロウソバ： EZONE 100、 POLYTOUR AIR 125