「今日、二つの夢が叶った！」 17歳を迎えたばかりの新王者は、そう言い、幼さの残る笑みを顔中に広げました。『全仏オープン』でグランドスラムタイトル、そして世界１位――その二つの栄冠を、小田凱人は同時につかみ取ったのです。

決勝の相手のアルフィー・ヒューエット（イギリス）は、５か月前の全豪決勝で敗れた相手。その時は「苦手」なバックを攻められましたが、今大会での小田は、バックハンドで相手のフォアに打ち勝ちます。弱点であることを自覚し、だからこそ「練習して、今ではフォアと同じくらい打てる」と自信を持つまでになった小田の新たな武器。6-1、6-4の勝利は、成長の証しでした。
実は小田の世界1位は、前哨戦に出ていたら、その時点で達成していた可能性もあったのです。それでも全仏優勝に焦点を当て、敢えて前哨戦を見送ったからこそ叶った「二つの夢」の同時成就。それは実力と運命が重なり生まれた、歴史的瞬間でした。

全仏で二つの記録を樹立したのは、女子のディーデ・デフロート（オランダ）も同じです。今大会の初戦で”ツアー100連勝“を樹立したデフロートは、「もし前哨戦の初戦がシード免除でなければ、全仏の前に100勝になるところだった。ここで樹立して嬉しい」と笑います。その喜びが呼び水になったか、決勝でも上地結衣相手に6-2、6-0の勝利。”グランドスラム10大会連続優勝“の偉業を成した絶対女王は、３年連続の”年間グランドスラム“に向け走り続けます。

男子シングルスでは、カスパー・ルード（ノルウェー）が２年連続のファイナリストに。クレーで得た勢いは、シーズン後半戦の活躍につながりそうです。その他にも、ジュニア女子ダブルス優勝など、チームヨネックスは10カテゴリーで決勝に進出し、大会を盛り上げました。

使用用具

小田凱人：
EZONE 100 L、 POLYTOUR SPIN、 POLYTOUR PRO 125
ディーデ・デフロート：
VCORE 98、 REXIS COMFORT 125
カスパー・ルード：
EZONE 100、 POLYTOUR SPIN 125、 POLYTOUR PRO 130、 POWER CUSHION ECLIPSION、 トーナメントウェア